葬式における香典の正しい書き方とは?知っておきたいマナーを解説!
訃報が届き葬式に参列する際に、故人に哀悼の意を表し持参するのが香典。
しかし、香典の基本的な書き方がわからず頭を悩ませてしまうことも。
本記事では、葬儀の司会に携わってきた筆者の経験を元に、葬式における香典の正しい書き方と知っておきたいマナーを紹介します。
間違った書き方をして、恥ずかしい思いをしたくない方は参考にしてくださいね。
葬式における香典の書き方【外袋】
香典袋には通常「外袋」と「中袋」があり、中袋にお金を入れて外袋で包みます。
まずは、外袋の書き方として次の2つを説明します。
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- 上段に表書きを記入する
- 下段に氏名を記入する
上段に表書きを記入する
外袋の上段には、表書きを記入します。
表書きとは、「御霊前」や「御仏前」など、香典をお供えする際の名目となるものです。
表書きにはいくつかの種類があり、故人が信仰していた宗教や宗派に合わせて記入する必要があります。
書き方によってはマナー違反になる恐れがあるため、可能であれば葬式に参列する前に、故人の宗教や宗派の確認をしましょう。
下段に氏名を記入する
外袋の下段である水引の真下中央部分には、基本的に香典を出す人の氏名を記入します。
ただし、故人との関係性によっては連名や法人として出す場合もあるでしょう。
記入に際しての主なポイントは次の2点です。
- 全員の氏名を記入できるのは3人まで
- 4人以上は白無地紙に全員の「郵便番号・住所・氏名・(氏名の下に)金額」を記入し中袋に入れる
詳しい書き方のバリエーションは下記の通りです。
個人の場合 |
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夫婦の場合 |
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2~3人の場合 |
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4人以上の場合 |
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会社(団体)関係者の連名の場合 |
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会社(団体)の代表者名を書く場合 |
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会社名・法人名の場合 |
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葬式における香典の書き方【中袋】
次に、中袋の書き方として次の3つを説明します。
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- 表面に大字(だいじ)で金額を記入する
- 裏面に「郵便番号・住所・氏名」を記入する
- 中袋がない場合
1. 表面に大字(だいじ)で金額を記入する
中袋の表面には、香典の金額を大字(だいじ)で記入します。
大字とは漢数字の一種で、数字の改ざんを防ぐために使われます。
香典金額を記入する際は、金額の前に「金」・後ろに「圓也」を付けますが、「也」は省略しても間違いではありません。
香典で使用する主な金額の書き方は下記の通りです。
香典の金額 | 金額の書き方 |
3,000円 | 金参仟圓(也)もしくは 金参阡圓(也) |
5,000円 | 金伍仟圓(也)もしくは 金伍阡圓(也) |
1万円 | 金壱萬圓(也) |
3万円 | 金参萬圓(也) |
5万円 | 金伍萬圓(也) |
10万円 | 金壱拾萬圓(也)もしくは 金拾萬圓(也) |
連名で香典を出す場合、中袋の表面には「包んだ合計金額」を記入します。
連名で出す際には、集めた合計金額が「四(死)」や「九(苦)」という縁起の悪い数字にならないように調整が必要です。
2. 裏面に「郵便番号・住所・氏名」を記入する
中袋の裏面には、香典を出した人の「郵便番号・住所・氏名」を左側に縦書きで記入します。
連名の場合は人数によって書き方が異なるため、次のポイントを押さえておきましょう。
- 2名以上の場合、氏名の下に個々の金額を記入する
- 4名以上になると代表者氏名の下に金額は書かず、白無地紙に個々の金額を記入し中袋に入れる
詳しくは下記の通りになります。
個人の場合 |
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夫婦の場合 |
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2人の場合 |
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3人の場合 |
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4人以上の場合 |
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会社(団体)関係者の連名の場合 |
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会社(団体)の代表者名を書く場合 |
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(参考:【香典】連名の書き方(2・3・4名以上)を画像で解説。香典袋は宗派別に選ぼう|アーツギフト)
3. 中袋がない場合
香典袋には中袋がないタイプもあります。
地域によっては、外袋と中袋をセットで使用する香典袋を「不幸が重なる」と捉え、避ける風習があるからです。
特定の地域以外では、基本的に中袋の有無はどちらでも問題はありません。
中袋がない場合、次のように記入します。
- 表面に表書き・氏名
- 裏面下段の左側に郵便番号・住所・金額
その他のマナーに関しては、中袋がある場合と同じです。
ただし、中袋がない香典袋は略式と捉え、包める額は多くて1万円までという考え方もあります。
可能であれば故人の地域の風習を確認した上で、香典袋を用意するのが賢明ですね。
葬式における香典の書き方は宗教によって異なる
葬式における香典の書き方は宗教ごとにルールがありますが、どのような違いがあるのでしょうか?
ここでは、日本の三大宗教それぞれのポイントを説明します。
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- 仏式(仏教)の場合
- 神式(神道)の場合
- キリスト教式(キリスト教)の場合
- 無宗教・不明の場合
仏式(仏教)の場合
まずは、「故人が極楽浄土へ導かれ成仏できるように」と願う仏式(仏教)の香典の書き方をお伝えします。
本来「香典」は仏教特有の呼び方であり、一般的に「不祝儀(ぶしゅうぎ)」が共通用語です。
仏教の中でも、浄土真宗においては「人は亡くなるとすぐに仏様に生まれ変わる」とされているため、表書きが変わりますので注意しましょう。
表書き | 香典袋の絵柄 | 水引 |
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神式(神道)の場合
「故人の魂は子孫の守護神になる」と考えられている神式(神道)の場合は、下記の通りになります。
表書き | 不祝儀袋の絵柄 | 水引 |
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キリスト教式(キリスト教)の場合
死は終わりではなく「神のもとに召される喜ばしいこと」とされているキリスト教式(キリスト教)の場合は、下記のように記入します。
カトリックとプロテスタントでは、表書きが異なりますので注意が必要です。
表書き | 不祝儀袋の絵柄 | 水引 |
【カトリック】
【プロテスタント】
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無宗教・不明の場合
故人が無宗教もしくは信仰する宗教が不明の場合は、汎用性が高いとされる下記のものを使用します。
表書き | 不祝儀袋の絵柄 | 水引 |
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葬式における香典の書き方で知っておきたいペンのマナー
葬式における香典を書く際には、使用するペンにもマナーがあります。
ここでは、知っておきたい次の3点を説明します。
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- 基本は薄墨の毛筆か筆ペンで記入する
- 毛筆・筆ペンがない場合はサインペンで代用する
- 中袋はボールペンやサインペンで記入しても良い
1. 基本は薄墨の毛筆か筆ペンで記入する
香典を書く際は、基本的に薄墨の毛筆か筆ペンを使用するのがマナーとなります。
薄墨は、黒と比べて水分が多く薄い色合いが特徴です。
「悲しみの涙が落ちて墨が薄くなった」という故人を追悼する気持ちを表すために、薄墨を用いるようになったと言われています。
ただし、地域によっては薄墨を使用しない場合もありますので、事前に確認しておきましょう。
2. 毛筆・筆ペンがない場合はサインペンで代用する
突然の訃報で薄墨の毛筆や筆ペンを用意できない場合は、サインペンで代用しても問題ありません。
サインペンには弔事専用の薄墨タイプがありますので、仮に筆文字が苦手な方でも抵抗なく使用できます。
ボールペンや鉛筆の使用はカジュアルな印象を与えるため、マナー違反となりますので覚えておきましょう。
いざ香典を書く時になって慌てないように、薄墨の筆ペンやサインペンを常に用意しておくと安心ですね。
3. 中袋はボールペンやサインペンで記入しても良い
上記でボールペンを使用するのはマナー違反とお伝えしましたが、中袋はその限りではありません。
外袋より小さい上に記入する事柄が多い中袋には、ボールペンやサインペンを使用しても良いとされています。
なぜなら、毛筆や筆ペンで細かい文字を書くと、滲んだり潰れたりして読みにくくなる恐れがあるからです。
遺族に正確な情報を伝えるために、ボールペンやサインペンではっきりと書きましょう。
まとめ
本記事では、葬儀の司会に携わってきた筆者の経験を元に、葬式における香典の正しい書き方と知っておきたいマナーを紹介しました。
悲しい訃報が届き、急いで香典を用意する際に書き方がわからないと焦ってしまいますよね。
しかし、事前に香典の書き方を把握しておくと、心静かに厳粛な葬式の場に臨む準備ができます。
故人や遺族に対し哀悼の意をしっかりと示すためにも、本記事を参考に正しい香典マナーを身に着けておきましょう。
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