親の介護費用が払えない時はどうする?対処法や子どもの負担について
「親の介護費用って、一体どのくらいかかるの?」
自分たちの生活はあるし、まだまだ子どもの教育費や住宅ローンなど、お金がかかることは山ほどあるでしょう。
そんな時に親の介護が始まってしまうと、いったいこの先どうなってしまうのか不安になりますよね。
本記事では、介護費用の負担を減らす制度や、介護費用が払えない時の対処法を紹介します。
親の介護費用についてお悩みの方は、ぜひ参考にしてくださいね。
親の介護費用の相場は『約580万円!』
生命保険文化センターによる「生命保険に関する全国実態調査」では、過去3年間に介護経験がある人が経験した介護期間は、平均61.1ヶ月(5年1ヶ月)で、月々の費用が平均8.3万円かかったと報告されています。
また、一時的に必要となった費用が74万円。
つまり、介護費用の平均総額は約580万円になります。
約580万円という結果はあくまでも平均値のため、介護期間や介護度の大きさによっても大きく変わります。
( 参考 : 2021(令和3)年度、公益財団法人生命保険文化センターによる「生命保険に関する全国実態調査」)
親の介護費用の負担を減らす制度
親の介護費用の負担を減らすには、公的な制度があります。
条件はありますが、うまく利用できれば負担をかなり減らせるはずです。
こちらでは、比較的利用しやすい制度を3つ紹介します。
- 介護保険制度
- 高額介護サービス費
- 高額医療・高額介護合算制度
介護保険制度
親の介護費用の負担を減らす制度には、介護保険制度があります。
介護保険制度とは、要介護や要支援の認定を受けた65歳以上の高齢者と、40歳から64歳までの医療保険加入者で特定疾患の患者が利用できる制度です。
所得に応じて1割から3割の自己負担額で受けられる公的なサービスで、居宅介護支援、居宅サービス、施設サービス、福祉用具に関するサービス、住宅改修費用などがあります。
介護保険料は、特定の条件を満たせば減免される時もあり、最大で7割程度安くなる場合も。
介護費用の捻出に困った時は相談してみるのも良いでしょう。
高額介護サービス費
親の介護費用の負担を減らす制度には、高額介護サービス費があります。
高額介護サービス費とは、1ヶ月の介護費用の合計額が高額になった場合に申請をすると、自己負担の限度額を超過した分が払い戻される制度です。
自己負担の限度額は、課税所得によって140,100円~15,000円の範囲で決められています。
しかし令和3年8月から、一定年収以上の高所得者世帯については、負担限度額の見直しが行われるようになりました。
高額医療・高額介護合算療養制度
親の介護費用の負担を減らす制度には、高額医療・高額介護合算制度があります。
高額医療・高額介護合算療養制度とは、医療費と介護費の1年分の自己負担額が負担限度額を超えた場合、払い戻しを受けられる制度です。
予想外に医療費や介護費が高額になった場合には、適用にならないか自治体に相談してみましょう。
親の介護費用の負担を減らす軽減制度
親の介護費用の負担を減らすには、税金などを少しでも減らして負担を軽くする「税金の軽減制度」を利用する方法があります。
こちらでは、主な軽減制度を2つご紹介します。
- 所得控除
- 障害者控除
所得控除
親の介護費用の負担を減らすための軽減制度に所得控除があります。
所得控除とは、所得税を計算する際、所得から一定の金額を差し引くことです。
収入の額の違いや扶養家族の有無、高い医療費を払っているか否かなど、それぞれの生活にかかる出費額が異なるため、負担できる税額は異なります。
納税者の事情に合わせて、税額計算上の所得を減らし、所得税を小さくして納税者の負担を軽減するためにある制度が所得控除です。
医療費などの出費によっては所得税が安くなる場合もありますので、活用してみましょう。
障害者控除
親の介護費用の負担を減らすための軽減制度に障害者控除があります。
障害者控除とは、納税者本人、または控除対象配偶者や扶養親族が、所得税法上の障害者に該当する場合に受けられる控除です。
一見介護とは関係なさそうな制度ですが、健康状態が一定の基準に当てはまる場合は、障害者控除が適用になるケースは少なくありません。
介護認定が要介護1以上で身体の衰えや認知症の方の中には、障害者控除を受けられる可能性もあるので、ぜひ見直してみてくださいね。
親の介護費用はどこから払う?
そもそも親の介護費用はどこから払ったらいいのでしょうか?
親の介護をしている人たちの多くが捻出している主な2つの方法を紹介します。
- 親のお金から払う
- 家族で話し合って決める
親のお金から払う
親の介護費用は、基本は親のお金から払いましょう。
親には育ててもらった恩があり、自分たちで支えなくてはと考える方も多いと思います。
しかしながら自分たちにも生活があり、支える側が介護費用の負担により生活できなくなってしまっては、元も子もありません。
厚生労働省の「2019年 国民生活基礎調査」でも、介護費用の多くは親本人の貯蓄などから賄われていることが明らかになっています。
親の介護のために親のお金を使うことは全くおかしなことではありませんので、親の預貯金や年金・金融商品があるならば、そちらから優先的に払いましょう。
家族で話し合って決める
親の介護費用は、家族や兄弟で話し合って決めましょう。
基本は親の資金から払うことが理想ですが、どうしても親の資金から払えなくなった場合、子どもたちがその費用を負担しなくてはなりません。
家族関係や経済状況は、各家庭それぞれ違いますが、お金が絡むとトラブルに発展しやすくなる場合も。
トラブルにならないようにできるだけノートやデータに記録しつつ、家族が納得できる形で支払い手段を見つけていきましょう。
親の介護費用が払えない時の対処法
親の介護費用が払えない状況になった時には、とれる対策はあるのでしょうか?
こちらでは、親の介護費用が払えない時の対処法を5つ紹介します。
- ケアマネージャーに相談する
- リバースモーゲージをする
- リースバックをする
- 実家の売却をする
- 生活保護を申請する
1. ケアマネージャーに相談する
親の介護費用が払えない状況になった時には、ケアマネージャーに相談しましょう。
ケアマネージャーとは、介護を必要とする本人や家族が抱えている課題を分析し、必要な支援をマネジメントする専門職です。
今の資金状況に合わせた低額な施設を紹介してくれたり、減免やサービスなどを含めた様々なアドバイスをしてくれたりします。
介護費用に悩んだ時は、早めにケアマネージャーへの相談をおすすめします。
2. リバースモーゲージをする
親の介護費用が払えない状況になった時には、リバースモーゲージをするというのも一つの方法です。
リバースモーゲージとは、自宅(土地)を担保にして金融機関から融資を受ける高齢者向けの融資制度です。
自宅を担保に融資を受けると言っても、自宅から退居せずに融資を受けながら、そのまま自宅に住み続けられます。
自宅の売却は本人が死亡した後に行われ、受けていた融資を全て返済するしくみです。
もちろん、子供や家族に資産を相続はできませんが、本人が亡くなるまで家族と一緒に自宅に住み続けられるメリットがあります。
3. リースバックをする
親の介護費用が払えない状況になった時には、リースバックをする方法もあります。
リースバックとは、自宅をリースバック会社へ売却し、賃料をリースバック会社に支払い、今までどおり自宅に住み続けられるサービスです。
実家は築年数が経って古くなった建物が多く、なかなか売却できないため、リーバックを利用して自宅に住み続ける方法も良いでしょう。
リースバックのサービスなら、まとまった資金を調達できるうえ、万が一、引越しをする場合でも、自宅に住んだまま新居探しや介護施設探しなどができるメリットがあります。
4. 実家を売却する
親の介護費用が払えない状況になった時には、実家の売却を検討してみましょう。
親が介護状態であると、親は施設へ入居するか、子どもと同居するかのいずれかの選択になる場合がほとんどです。
親と同居をしている場合を除き、実家は空き家になってしまうので、固定資産税を払い続けなければなりません。
売却ができれば、施設へ行く場合は売却額で施設への入居費にあてられますし、同居する場合は介護費にあてられます。
5. 生活保護を申請する
親の介護費用が払えない状況になった時には、生活保護を申請するのも一つの手段です。
色々な理由から年金の支払いができなくなったり、家族の支援もできなくなったりした場合には、生活保護の受給を検討しましょう。
生活保護を受けるようになっても、入居できる老人ホームがあります。
ただ生活保護を受けると、生活には制限がかかり、利用できるサービスは介護支援事業者が作成する計画書に基づく範囲内となります。
まとめ
避けては通れない親の介護問題。
わかってはいても、介護にかかる費用がどのくらいかかるのかは不安の一つですよね。
本記事では、介護費用の負担を減らす制度や、介護費用が払えない時の対処法を紹介しました。
本記事を参考に、計画性も持って無理なく介護を続けてくださいね。
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