葬式のNGワード「忌み言葉」とは?注意すべき言葉のマナーを解説!
誰しも葬式に参列した際に、悲しみに暮れている遺族や参列者と会話をする機会があるものです。
しかし、NGワードだと知らずに使ってしまうと相手に不快な思いをさせてしまうということも。
本記事では、葬儀の司会に携わってきた筆者の経験を元に、葬式で使ってはいけない忌み言葉や注意すべき言葉のマナーを紹介します。
葬式の場で気まずい思いをしたくない方は参考にしてくださいね。
葬式でのNGワード「忌み言葉」とは?
忌み言葉とは、冠婚葬祭の場で使ってしまうと「縁起が悪い」と受けとられる言葉を指します。
日本では古くから言葉には「言霊(ことだま)」が宿っており、発言した通りの結果になると考えられてきました。
そのため、縁起が悪い言葉や不吉な言葉は口にしないようにするという風習が広まったのです。
これが忌み言葉の由来と言われています。
日頃使う分には問題なくても、葬式ではNGワードとなる言葉が多数あるため、忌み言葉を把握していないと非常識だと思われることも。
葬式に参列する際に、マナー違反とならないよう知識として身に着けておきましょう。
葬式でNGワードとなる「忌み言葉」の種類とは?
では、葬式でNGワードとなる忌み言葉にはどのようなものがあるのでしょうか?
次の4種類を紹介します。
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- 不吉な言葉
- 重ね言葉
- 不幸が続くことを連想させる言葉
- 生死を連想させる言葉
1. 不吉な言葉
葬式でNGワードとなる忌み言葉の1つ目は「不吉な言葉」です。
嫌なことが起きる前触れを連想させるため、避けるべきNGワードとなります。
例えば、次のような言葉に注意が必要です。
- 苦しい
- 切れる
- 数字の「四(死)」「九(苦)」
不吉な言葉は柔らかく表現することが難しいため、使わないよう心掛けましょう。
2. 重ね言葉
葬式でNGワードとなる忌み言葉の2つ目は「重ね言葉」です。
同じフレーズが2回続く言葉で、不幸が重なるという連想に繋がります。
例えば、次のような言葉があります。
- 重ね重ね
- いろいろ
- さまざま
同じ言葉を2回言うことで「繰り返す」という意味合いにもなるため、注意が必要です。
3. 不幸が続くことを連想させる言葉
葬式でNGワードとなる忌み言葉の3つ目は「不幸が続くことを連想させる言葉」です。
故人に続き、悲しい死が遺族にまで及ぶ事態をイメージさせる可能性があります。
例えば、次の言葉に注意しましょう。
- また
- 追って
- 次に
会話の中で何気なく使ってしまいがちな言葉が多いため、よく考えて発言する必要があります。
4. 生死を連想させる言葉
葬式でNGワードとなる忌み言葉の4つ目は「生死を連想させる言葉」です。
生死をそのままの言葉で発言すると、遺族を傷つけてしまう可能性があります。
例えば、次のような言葉に注意しましょう。
- 死ぬ
- 生きていたころ
- 急死
生死を表現する言葉は特にデリケートな部分であるため、慎重に発言するよう配慮が必要です。
葬式でのNGワードは言い換えるのがマナー
葬式においてNGワードとなる言葉を使わざるを得ない場合は、言い換えることが故人や遺族に対する配慮でありマナーです。
それぞれの忌み言葉に対する言い換え方を把握して、いざという時に上手に使いましょう。
不吉な言葉の言い換え
先程もお伝えしましたが、不吉な言葉は言い換えが難しいため、使わないようにするのが賢明です。
数字に関しては、どうしても使う必要がある場合、次のような配慮をしましょう。
四(し) | よん・よっつ・4 |
九(く) | きゅう・ここのつ・9 |
読み方を変えたり、書き言葉の場合は数字で書いたりすることで印象が和らぎます。
重ね言葉の言い換え
重ね言葉の言い換えは次のリストを参考にしてみましょう。
重ね重ね | 加えて・深く |
いろいろ | 多くの・多彩な |
さまざま | 多種多様・多様 |
たびたび | いつも・よく・何度も |
ときどき | たまに・時折 |
ますます | もっと・さらに・一段と |
わざわざ | そのために・あえて |
まだまだ | もっと・より・まだ |
たまたま | 偶然・思いがけず・珍しく |
つくづく | 心から |
不幸が続くことを連想させる言葉の言い換え
不幸が続くことを連想させる言葉は下記のように言い換えましょう。
また | さらに・改めて |
追って | 後ほど |
次に | 別の機会に・その後・新たに |
再び | 今一度 |
続いて | 同様に・同じく |
引き続き | これからも・さらに |
繰り返し | 深く・しきりに |
生死を連想させる言葉の言い換え
生死を連想させる言葉は下記のように言い換えると印象が和らぎます。
死ぬ | 逝去・亡くなる・他界 |
生きていた頃 | ご生前・お元気な頃 |
急死 | 急逝・突然のこと |
葬式でのNGワードは宗教によって異なる
葬式でよく使われる言葉の中には、宗教によってNGワードに該当するものがあります。
これは、宗教ごとに死に対する考え方や捉え方が異なるからです。
日本における主な宗教3つのNGワードを紹介します。
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- 仏教の場合
- 神道の場合
- キリスト教の場合
仏教の場合
仏教の供養は、「故人が極楽浄土へ導かれ成仏できるように願う」という意味が込められています。
したがって、成仏できない・報われないことを連想させる言葉は避けるべきNGワードになります。
例えば、次の言葉は使わないようにしましょう。
- 浮かばれない
- 迷う
さらに、仏教には天国という世界観がないため「天国で安らかに」などの言葉もNGワードです。
また、仏教の中でも浄土真宗においては「人は亡くなると冥界へは行かずすぐに仏様に生まれ変わる」とされているため、冥福という言葉は不適切であると覚えておきましょう。
神道の場合
神道では、「故人の魂は家にとどまり子孫の守護神になる」と考えられているため、天国などの死後の世界は存在しません。
仏教と大きく考え方が異なるため、以下のような仏教用語は避けましょう。
- 冥福
- 成仏
- 供養
- 往生
- 冥土
例えば「ご冥福をお祈りします」は「御霊(みたま)のご平安をお祈りします」という表現になります。
キリスト教の場合
キリスト教では、死は終わりではなく「神のもとに召される喜ばしいこと」という意味を持ち、永遠の幸せを得るとされています。
したがって、お悔やみの言葉はありません。
キリスト教におけるNGワードは次のようなものがあります。
- 成仏
- 供養
- 冥福
- 往生
- あの世
お悔やみではなく安らかな眠りを祈る表現になるため、「心からお悔やみ申し上げます」は「安らかに眠られますようお祈り申し上げます」という文言になります。
葬式で遺族と話す際のNGワードとは?
葬式で遺族と話す際には、故人を偲び悲しみに寄り添うことが大切です。
遺族の心に負担を掛けないためにも、次の話題には注意しましょう。
死因などを聞く言葉
葬式で遺族と話す際には、こちらから故人の死因を聞く会話は避けたほうが賢明です。
亡くなった原因がわからない場合、気になり尋ねたくなりがちですが葬式の場においてはマナー違反となります。
遺族にとって、亡くなった時のことを話すのは精神的に辛く、負担になる可能性があるからです。
死に関わる直接的な会話は控えて、「この度はご愁傷様でした」と手短に済ませましょう。
激励する言葉
激励の言葉も葬式における遺族にとっては、重荷になる可能性があります。
悲しみに暮れている遺族を目の当たりにすると、「元気になってもらいたい」と思うものですが安易に励ますのは避けましょう。
例えば、次の言葉は葬式の場において適切ではありません。
- 頑張って
- いつまでも悲しまないで
- 元気を出して
- あなたがしっかりしないと
遺族は、大切な人を失った悲しみから簡単に立ち直ることはできません。
参列者に挨拶するだけでも精神的に辛い状態のため、激励の言葉を掛けるのはある程度時間が経過してからにしましょう。
まとめ
厳粛な葬式の場でNGワードだと知らずに使ってしまうと、マナー違反となり「非常識な人」だと思われる可能性があります。
本記事では、葬儀の司会に携わってきた筆者の経験を元に、葬式で使ってはいけない忌み言葉や、注意すべき言葉のマナーを紹介しました。
葬式にて遺族や参列者と会話をする際には、さらに悲しみを深めてしまわないような配慮がとても大切です。
哀悼の意を持って掛けた言葉が失礼にあたらないように、本記事を参考にして忌み言葉の言い換えを身に着けておきましょう。
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