帝王切開のメリットやリスクは?新生児の呼吸障害などの危険性も
帝王切開は、経膣分娩と比べて痛みや傷跡など不安を強く感じる方が多いと考えられます。
しかし、帝王切開にはメリットも何点かあります。
逆に産まれてくる新生児に高いリスクがあることも。
本記事では、帝王切開のメリットやリスク、新生児の呼吸障害などの危険性を合わせて紹介します。
帝王切開を予定しているお母さんで、リスクやメリットについて詳しく知りたい方は参考にしてくださいね。
帝王切開のメリット
帝王切開を不安に思う方もいるでしょう。
ですが、帝王切開にはメリットもいくつかあるのです。
では帝王切開にはどんなメリットがあるのでしょうか?
メリットは以下の4点です。
- 出産のときのリスクが母子ともに少ない
- 母が陣痛を感じない
- 出産するまでのかかる時間が短くてすむ
- 予定分娩の場合はスケジュールが事前に把握できる
詳しく解説します。
参考サイト:ミネルバクリニック
出産のときのリスクが母子ともに少ない
帝王切開には、出産のときのリスクが母子ともに少ないメリットがあります。
母親のお腹を切って取り出す方法のため、分娩中に赤ちゃんを直接観察でき、小さな変化にもすぐに気づけるのです。
母子ともに身体的な負担が少なく、さらに術後の回復が早いのが特徴です。
帝王切開は自然分娩が難しい逆子や前置胎盤の場合を含め、緊急性の高い生命が脅かされる手術まで対応しています。
母が陣痛を感じない
母が陣痛を感じないのも帝王切開のメリットです。
帝王切開は、母体に麻酔をかけてから赤ちゃんを取り出す方法のため、陣痛を感じないからです。
子宮収縮をしてから赤ちゃんを出す自然分娩とは異なり、麻酔をかける帝王切開は、母が麻酔後痛みを感じなくなります。
そのため、手術が終わったあとも麻酔が切れるまでは痛みを感じにくく、赤ちゃんに気持ちを全力で注げるのです。
出産するまでの時間が短くてすむ
出産するまでの時間が短くてすむのも帝王切開のメリットの1つです。
自然分娩は子宮収縮の時間があり、陣痛に耐えなければなりません。
また、赤ちゃんを産み出すため子宮口が全開になる必要があります。
そのため自然分娩が平均約7〜14時間程度かかるところ、帝王切開は麻酔がかかる時間や術後の縫合処置を除いて約5〜10分程度ですみます。
このように帝王切開は短時間での出産が可能なため、術後体力を温存できるのが特徴です。
予定分娩の場合はスケジュールが事前に把握できる
帝王切開が予定分娩の場合は、スケジュールが事前に把握できるメリットがあります。
緊急性のない予定分娩では日時があらかじめ組まれ、手術入院前に把握できるため、自分や家族のスケジュールが立てやすいのです。
スケジュールが把握できると、気持ちに余裕を持って出産の準備をしたり、夫婦で出産後のスケジュールを決めたりすることができます。
いつ分娩になるか分からない自然分娩と異なり、帝王切開はソワソワした気持ちがない分、リラックスしてお産を迎えられますね。
帝王切開のデメリット
帝王切開にはメリットだけではなく、デメリットも存在します。
デメリットは以下の3点です。
- 術後の合併症のリスクが高い
- 帝王切開部位の痛みを感じる
- 帝王切開部分のケロイドや瘢痕が残る場合がある
詳しく解説します。
参考サイト:ミネルバクリニック
術後の合併症のリスクが高い
帝王切開は術後合併症のリスクが高いデメリットがあります。
帝王切開後は腹部切開手術による臓器の損傷や、長時間安静臥床によって生じる、血流の停滞リスクが高くなるのです。
合併症はお母さん側と新生児側の2つが考えられます。
お母さん側の合併症は他にも大量出血や麻酔の副作用、術後の痛み、感染症などがあります。
帝王切開後は母体の観察を行い、予期せぬ急変に早期に対応することが大切です。
参考サイト:カンゴルー
帝王切開部位の痛みを感じる
切開部位の痛みを感じるのは帝王切開のデメリットの1つです。
帝王切開は腹部を切開して新生児を取り出す方法のため、切開部位の痛みがあります。
手術中は麻酔が効いているため、切開部位の痛みは感じにくくなっていますが、麻酔が切れると傷口の痛みや後陣痛を感じます。
自然分娩ではあまり感じない傷口の痛みが、帝王切開では感じられるのです。
術後の痛みは人それぞれで異なり、感じ方も違いますが、我慢せず痛み止めの内服や注射を希望しましょう。
帝王切開部分のケロイドや瘢痕が残る場合がある
帝王切開には切開部分のケロイドや瘢痕が残るデメリットもあります。
帝王切開による傷跡はお母さんの体質によっては、腹部に跡が残ったり(瘢痕)、炎症を起こして痛みやかゆみを生じたりする(ケロイド)場合があるのです。
傷跡は完全に回復するには時間を要し、目立たなくなるのに約1年程度かかるとされています。
傷が瘢痕やケロイドになった場合は、退院後も継続して経過を観察することが重要なのです。
帝王切開で生まれる新生児が抱えるリスク
帝王切開で生まれる新生児が抱えるリスクは以下の4点です。
- 呼吸障害
- 低血糖
- 感染症
- 肥満リスク
詳しく解説します。
呼吸障害
帝王切開で生まれる新生児は呼吸障害のリスクが高くなります。
帝王切開での分娩は陣痛前に生まれることが多く、母体の狭い産道を通らないため、肺水の排出や吸収が遅延されるためです。
例として、生まれたあと数日間呼吸が早くなる『新生児一過性多呼吸』を起こしたり、さらに悪化すると深刻な状態の『呼吸窮迫症候群』を起こしたりします。
呼吸障害は経膣分娩で生まれてくる新生児と比べてリスクが高くなることを念頭に置いておきましょう。
参考サイト:Cochrane
参考サイト:イガク
低血糖
低血糖になるリスクも帝王切開で生まれる新生児は高くなります。
リスクが高まるのは、胎児や母体にエネルギーを補給する目的で、ブドウ糖含有液を術前から点滴投与することが多いためです。
ブドウ糖含有液は、胎児の低血糖の原因となり負荷を与えます。
使用される薬剤によっては胎児と母体は高血糖を起こしますが、最終的に新生児の低血糖を引き起こす原因となるのです。
参考サイト:久保田生命科学研究所
感染症
帝王切開で生まれる新生児は感染症のリスクも高まります。
分娩時や分娩後の帝王切開における新生児は、免疫が未熟で細胞性免疫機能が低いためです。
新生児の感染症のリスクは、早産で生まれた新生児では特に高くなります。
早産で産まれた新生児は抗体産生量が少ないため、持続的静脈点滴や気管挿管などの処置が必要となります。
これらの処置自体に細菌感染のリスクがあることから、新生児の感染症リスクを高めてしまうのです。
参考サイト:MSDマニュアル
胎児アシドーシス
胎児アシドーシスも帝王切開で生まれる新生児が抱えるリスクの1つです。
胎児アシドーシスとは、低酸素で胎児の血液が酸性に偏り、状態が悪化したことを示す状態です。
原因は、帝王切開での麻酔による母体の仰臥位低血圧症候群や、胎児の遅延徐脈が考えられます。
胎児の遅延徐脈が原因である場合は、帝王切開直前の遅延徐脈を早期に発見できるよう対処することが大切です。
参考サイト:J-Stage
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjsca/32/3/32_326/_pdf/-char/ja
参考サイト:エコチル調査
まとめ
帝王切開は麻酔をかけて、腹部を切開して行う外科的手術のため、不安が強いお母さんは多くいるでしょう。
出産は命がけで、分娩中に予期せぬ緊急の出来事があれば、急遽帝王切開を行うケースも少なくありません。
帝王切開では産まれてくる新生児のリスクはつきものですが、反対にメリットもいくつかあります。
本記事では、帝王切開のメリットやリスク、新生児の呼吸障害などの危険性について紹介しました。
帝王切開を予定しているお母さんで、リスクやメリットについて詳しく知りたい方は参考にしてくださいね。
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