介護で使ってはいけない言葉・口調一覧!家族へはどう対応する?
介護の現場では、慣れてくると被介護者と親密なコミュニケーションが取れるようになります。
しかし、間違った言葉遣いで相手の気分を害してしまうことも。
本記事では、介護の現場で使ってはいけない言葉を紹介します。
被介護者や家族とのコミュニケーションに悩んでいる方は参考にしてくださいね。
介護で使ってはいけない言葉・口調一覧!家族が気分を害する可能性も!
介護現場で使ってはいけない主な言葉や口調には、次の7つが挙げられます。
- ため口
- 脅すような言葉遣い
- 赤ちゃん言葉
- 命令口調
- あだ名や呼び捨て
- 専門用語を使って話す
- 若者言葉
ここからは、それぞれの言葉や口調をなぜ使ってはいけないのか説明していきます。
ため口
介護の現場では、被介護者にため口を使ってはいけません。
被介護者は介護が必要になったとはいえ、年上の人ですから敬意を持って接する必要があります。
毎日接していると親近感を持つようになって口調も砕けがちですが、もし相手が会社の上司ならため口は使わないですよね。
いくら信頼関係があっても、自分の親が若いスタッフにため口で話しかけられていたら、家族も気分が良くないでしょう。
かしこまった対応までは必要ないかもしれませんが、年長者を敬う気持ちが大切です。
脅すような言葉遣い
被介護者に対して脅かすような言葉を使ってはいけません。
普通に生活をしていたら、脅すという状況は起きないはずです。
認知症を患っている方に同じことを繰り返し言わなければいけないようなケースでも、病気なのでそれは仕方のないことです。
介護者が思うようにならないからといって「次やったら、◯◯しないから」など、正当な介護を受けられないような発言をしてはいけません。
被介護者が恐怖を感じるような話しかけはしないようにしましょう。
赤ちゃん言葉
被介護者に対して、赤ちゃん言葉を使うのも基本的に禁止です。
幼稚な言葉遣いも、介護される本人だけでなく家族にも不快感を与えます。
介護が必要だからといって子どもなわけではなく、あくまでも年長者です。
自分の親に赤ちゃん言葉で話しかけるなんて、考えられないですよね。
いくら安心してほしい、距離を縮めたいと思っても、赤ちゃん言葉を使うのは避けましょう。
命令口調
被介護者に命令口調で話しかけてはいけません。
命令口調だと相手を傷つけることもあり、人によっては逆上してくることもあります。
いくら忙しくても、介護は基本的に被介護者のペースで行うものなので、業務優先で動く必要はないです。
また、口調が丁寧でも雰囲気が威圧的だと、被介護者は恐怖心や不快感を持つようになります。
どんな場合でも「〜しましょう」「〜しませんか?」というような丁寧な言葉遣いで話しましょう。
あだ名や呼び捨て
被介護者をあだ名や呼び捨てにするのもよくないです。
これは被介護者の家族や周りの人が見ると不快に思う可能性があります。
被介護者と職員の年齢が近いと、親しみを込めてあだ名や呼び捨てにしてしまいがちです。
昔からの知り合いが介護対象者になった場合などもあだ名で呼びがちですが、関係性を知らない周りの人は「他の人もこう呼んでいるのか?」と感じます。
遠慮がない人だと思われ、介護者の評価が下がるので「さん」付けで呼んだほうが賢明です。
専門用語を使って話す
被介護者や家族に、専門用語を使って話すのもやめましょう。
介護者同士では通常使用する言葉でも、一般の人が使わない言葉は内容がイメージできず、伝わりません。
被介護者や家族に対して話すときは、相手に伝わるわかりやすい言葉を選んで話すことが大切です。
若者言葉
被介護者とのコミュニケーションで、若者言葉を使ってはいけません。
被介護者の知らない若者言葉を使っても伝わらず、会話にならないからです。
これは若い介護者にありがちで、普段使っている言葉を何気なく使ってしまうのです。
しかし被介護者にとっては、わからない言葉で話しかけられると非常に不安な気持ちになります。
意識して若者言葉を使わないよう注意しましょう。
介護で使うべき言葉や心構えは?
介護の現場ではどのような言葉を使うべきなのか、次の6つの心構えを知っておくことで、格段にコミュニケーションが上手くいきます。
- 本人が言っていることを否定しない
- 本人の間違いを強い口調で否定しない
- 急かさない
- 脅さない・強制しない
- 先入観を持たない
- 励ましすぎも逆効果
それぞれのポイントを押さえて、被介護者と向き合っていきましょう。
本人が言っていることを否定しない
介護においては、本人が言っていることを否定せず、話や世界観を受け入れる姿勢が大切です。
認知症を患うと、時に本人が現実とは違う時代や世界にいることがあります。
本人にとっては私達と違う世界が現実なので、話を否定すると不安や不信感を抱き、ひどい時には怒り始めます。
ご飯を食べたのに「食べていない」というのも現実とは違いますが、本人の中では食べた記憶がないのです。
本人の中の事実を認めることで、満足し穏やかに過ごせるでしょう。
本人の間違いを強い口調で否定しない
介護の際、本人の間違いを強い口調で否定すると、驚いて混乱してしまう可能性があります。
周りから見ると間違った行動でも、本人には間違いだという認識がありません。
自覚がないことを強い口調で注意されると、自信を無くして落ち込んでしまいます。
またプライドが高い人は、傷ついて激昂するかもしれません。
間違いを否定するのではなく、どう改善したらいいかなど前向きな言葉を選びましょう。
急かさない
被介護者のペースが遅いからと言って、急かすような声かけをするのもよくないです。
急かすと情報を処理できず、パニックを起こす可能性があります。
たとえば、食事の際に次々に食べさせると飲み込むタイミングを逃したり、詰まらせるリスクもあり危険です。
立ち上がる動作も、自分のタイミングなら立てるけど、急かすとうまく立てないことがあります。
急かすことで被介護者の能力を奪ってしまうので、落ち着いて動けるように声をかけましょう。
脅さない・強制しない
被介護者を脅したり、何かを強制するような声かけは、もちろんしてはいけません。
これは誰に対しても許される言葉ではないですよね。
助けが必要な人に対して、思った通りに動けないからといって「できないなら、◯◯しないから」と脅すのは嫌がらせです。
また「〜しなさい」と強要するのも、行動を制限していることになります。
虐待ともとられかねない言葉なので注意しましょう。
先入観を持たない
被介護者に対して先入観をもたないようにするのも大事なことです。
先入観を持っていると、事実を見誤ることがあるからです。
たとえば普段活発に動いている人が朝から寝たまま過ごしていても、「元気な人」という先入観を持っていると体調不良を見逃してしまいます。
また「これはできないでしょう」と決めつけると、本人のやる気やプライドを傷つけ、できることもできなくなります。
先入観を持たず本来の姿に目を向け、本人を尊重しましょう。
励ましすぎも逆効果!一緒に喜んだほうがベター
介護では、励ましすぎるのも逆効果となってしまいます。
できないことが増えてくると落ち込んでしまうので、励ましたくなりますが、逆効果になるのでやめましょう。
励ましすぎるとかえって本人に大きな負担になるからです。
もう少しでできそうだと思うとつい励ましたくなり、「もう少し頑張って!」「もうできるでしょ?」と言ってしまいがち。
できないことにフォーカスするのではなく、できたことを一緒に喜ぶほうが本人の力になります。
介護で良い関係を築くための方法!家族へはどう対応する?
介護で被介護者やその家族と良い関係を築くには、次の5つのポイントに注意しましょう。
- 相手を思いやる言葉や態度を意識する
- 相手の立場になって考える
- プライドを傷つけない
- 家族の気持ちも考慮する
- 適度にクッションになる柔らかい言葉を意識する
ここからは、それぞれどんなことを意識すればいいのか詳しく解説します。
1. 相手を思いやる言葉や態度を意識する
被介護者や家族と良い関係を築くには、相手を思いやる言葉や態度を意識しましょう。
心のない介護は被介護者に対する言葉や態度に現れ、相手に伝わります。
たとえば認知症を患っている被介護者に対して不親切な態度で接すると、行動そのものを忘れたとしても、不信感は残っているものです。
そのため、不親切な態度をとった介護者の前では落ち着かなくなります。
反対に気持ちを明るくするような声がけや、不安感がなくなるような声かけをすると、安心して穏やかに過ごせるはずです。
介護で良い関係を築くためには、被介護者に配慮した言葉遣いや態度を意識することが大切になります。
2. 相手の立場になって考える
介護者は被介護者の立場になって考えることで、信頼関係を築けます。
できるだけ相手に寄り添いたいと思う姿勢が、絆になるからです。
どれだけ頑張っても、別の人間を100%理解するのは難しいものです。
しかし被介護者が心地いいと感じる空間や、自分が相手の立場ならどうかを想像して行動すると、歩み寄ることができます。
相手の立場で考えて寄り添う姿勢が大切です。
3. プライドを傷つけない
被介護者や家族と良い関係を築くには、プライドを傷つけないことも大切です。
介護者の言動で被介護者のプライドを傷つけてしまうと、信頼関係を構築するのは難しいでしょう。
介護者が良かれと思ってやったことが、実は相手の心やプライドを傷つけていることもあるのです。
たとえば、本来できることを手助けしたり助言したりすると、人によっては「こんなこともできないと思われているのか」と傷つきます。
言われて相手がどう思うかを考え、相手を思いやった言動を意識すると良い関係が保てるはずです。
褒められたり感謝の言葉を伝えられたりして、嫌な気分になる人はそういないでしょう。
4. 家族の気持ちも考慮する
被介護者の家族の気持ちにも配慮するよう意識すると、家族とも良好な関係が築けます。
事実を伝えるのも大切ですが、表現の仕方によっては家族の気持ちを傷つけてしまうこともあるからです。
親が認知症を患ったと認めるだけでも大変なのに、施設で他の人のごはんを食べてしまったなど、迷惑をかけたと聞くといたたまれない気持ちになります。
家族がショックを受けないよう、説明の仕方には十分な配慮が必要です。
5. 適度にクッションになる柔らかい言葉を意識する
介護の現場では事実を伝えるのも大切ですが、柔らかい言い回しで伝えると良い関係を築けます。
そのまま伝えると、尊厳を傷つける可能性もあるからです。
たとえば施設を利用中に粗相をして汚れ物があるとしても、事実をそのまま伝えると本人や家族は気まずい想いをするかもしれません。
「レクリエーションに熱中し過ぎて…」など、ワンクッション置くことで家族の心理的負担も減るはずです。
被介護者や家族がストレスを感じないよう、時にはオブラートに包んだ言い回しをしましょう。
まとめ
介護で使ってはいけない言葉を紹介しました。
介護現場では慣れたからといって油断すると、普段の言動から被介護者や家族との関係が悪くなることもあります。
ですが、言葉の選び方や心構えを知って実行することで、円滑な人間関係を築けます。
本記事を参考に、被介護者や家族と上手くコミュニケーションをとってみてくださいね。
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